むし歯・歯周病予防

矯正治療のリスクのひとつとして、装置を装着することでブラッシングしにくくなり、ケアが不十分で虫歯や歯周病のリスクが高まるということがあります。 しかし、矯正治療中であっても虫歯や歯周病は予防できます。当院では、矯正治療中の虫歯予防・歯周病予防を担当の歯科衛生士が行っています。

虫歯・歯周病の原因は歯垢(プラーク)です

むし歯、歯周病の説明

虫歯や歯周病は、細菌によって引き起こされる感染症です。原因となる菌は歯の表面にこびりついた歯垢(プラーク)の中で繁殖し、虫歯や歯周病を発症します。
歯垢(プラーク)は食べ物のかすではなく、細菌の集合体です。ねばねばとした物質で歯にこびりついているため、歯ブラシや専用の器具を使用しなければ除去できません。つまり、虫歯や歯周病の予防には毎日の歯磨き(ブラッシング)が最も効果的なのです。

矯正治療中の予防ケア(プラークコントロール)

虫歯や歯周病にならないためには、原因菌が棲みつく歯垢(プラーク)がたまりにくいお口の環境を作ること(プラークコントロールと言います)が大切です。
装置をつけている矯正治療中はもちろん、治療が終わって綺麗な歯並びになった後も予防ケアを続け、健康なお口を保ちましょう。

当院では矯正治療を始める前に検査を受けていただき、患者様のお口の状態に合わせた予防ケアを行っております。

プラークコントロール

1.検査

虫歯や歯周病になりやすい口腔環境かどうかのチェックをします(カリエスリスク検査・歯周病検査)。

カリエスリスク検査

カリエスリスク検査

カリエスリスク検査では唾液の量や緩衝能力、虫歯菌の量、歯の性質、食生活などをチェックし、虫歯(カリエス)になりやすい危険度(リスク)を測定します。
虫歯は、口腔内の細菌(微生物)が食物を分解して酸を生成しますが、その酸によって歯のカルシウムが溶かされる(脱灰)ことです。同じ条件下でも虫歯になりやすい方・なりにくい方がいらっしゃいます。これは、虫歯の原因が細菌だけにあるのではなく、患者様が虫歯になりやすい口腔環境にあるかどうか(宿主の感受性)や、酸の基となる食物(酸産生の基質)をどのように摂取しているかなどの条件によって決定されるからです。
虫歯のなりやすさを把握した上で予防計画を立て、指導を行います。

歯周病検査

歯周病検査

歯周病検査では、レントゲン写真や歯周ポケットの深さの測定(プロービング)、唾液検査による歯周病菌量の測定、歯の動揺度などをチェックします。

2.指導・処置

虫歯や歯周病の予防には、プラーク(歯垢)を溜めない口腔環境作りが最も大切です。プラークコントロールをしっかりと行い、虫歯菌・歯周病菌を減らすための指導を中心として行って行きます。

ブラッシング指導

歯科衛生士が歯垢(プラーク)を綺麗に落とすための正しいプラッシング指導を行っています。
毎日きちんと歯磨きをしているのに虫歯になってしまったという経験はありませんか?
それは、きちんと磨いているつもりでも、歯ブラシの先が隅々にまで届いていなくて磨き残しがあるためです。

矯正治療中のプラッシングポイント

矯正治療中のプラッシングポイント

矯正装置の周りに汚れがたまりやすくなります。特にブラケットと歯茎の間(丸印で囲んだ部分)やワイヤーの下(矢印の部分)を丁寧に磨くようにしてください。
ワイヤーの隙間や細かい部分は、普通の歯ブラシよりもワンタフトブラシやフロスなどを使うと磨きやすくなります。

フッ素塗布

歯の表面にフッ素を塗布し、虫歯になりにくい歯を作ります。
フッ素には、虫歯菌が酸を作るのを抑制する効果があります。また、歯の表面のエナメル質を強くして虫歯になりにくい歯に変える性質も持っているため、定期的にフッ素を塗布することで虫歯を予防する効果を得られます。

市販の歯磨きペーストのフッ素について
日本で市販されている歯磨きペーストのほとんどにはフッ素が含まれているのですが、一定の時間口の中に含んでおかなければならないなど、通常の歯磨きでは十分な効果を得るのが難しいようです。予防効果を上げるためには、歯科医院での塗布をおすすめしています。

食事指導

虫歯の発生には、食事の摂り方が大きく影響します。食生活について詳しく伺い、虫歯になりやすい食事の摂り方をされている方には、虫歯予防としての食事指導を行います。

食事をすると口の中が酸性になり、歯が溶け始めて虫歯のリスクが高まります。時間が経ち、唾液などで中和されるとアルカリ性に戻って再石灰化が始まりますが、間食を多く摂ったり”だらだら食べ”をしているとお口の中が酸性になっている時間が長くなり、虫歯のリスクが高まります。

決まった時間に規則正しく食事を摂ること、だらだら食べないこと、食事の後には歯磨きをすることなど、虫歯になりにくい食生活を送ることも非常に大切です。

3.定期的チェック

動的治療が始まったら月に1回程度調節にお越しいただきますが、その際にお口のチェック(歯磨きが十分にできているか、虫歯や歯周病になっていないかなどの確認)も行います。定期的にチェックすることで、もし虫歯や歯周病が見つかっても早期に治療をすることができます。

歯磨きが十分にできていない方には改めてブラッシング指導を行い、ご希望があれば歯のクリーニング(PMTC)も行います。

PMTC(専門的なクリーニング)

PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)は、トレーニングを受けた専門家(歯科医師または歯科衛生士)が専用の機械を使って行うクリーニングのことです。
毎日ご自分で丁寧に歯磨きをしていても、どうしても磨き残しが出てしまいます。残ってしまった歯の汚れをきれいに取り除くために、定期的にPMTCを受けられることをおすすめしています。

治療内容 スタンダードエッジワイズ法を用いた矯正歯科治療
費用(自費診療) 約88万円~110万円(税込)
通院回数/治療期間 毎月1回程度/約2年
副作用・リスク 装置を初めて装着した時とワイヤーの調節を行った直後に数日間痛みを感じる場合があります。
歯に矯正装置を装着するため、歯磨きをしづらくなって磨き残しが多くなり、虫歯や歯周病にかかりやすくなることがあります。
歯を動かすことにより、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、きちんと噛めるかみ合わせと調和の取れた口元を作るために、やむを得ず健康な歯を抜く場合があります。
保定のためのリテーナーを適切に使用しないと後戻りする場合があります。